6/9(火)晴れ 真夏日
先週木曜、夜勤明けの朝。最寄りのバス停に降り立ちすぐ気付く。
定期券を落とした!(°◇°;) ゲッ
こんな事人生で初めて。その場でズボンやバッグの中を探しまくる。やっぱり無い。
バス3ヶ月分と電車6ヶ月分を合わせて総額約12万円相当の定期券。買い直すとなるとこれじゃ給付金をもらっても赤字になってしまう。
観念して大人しく自宅に帰る。どこで無くしたか、夜勤明けの寝ぼけたアタマで冷静になって振り返る。間違いない。バスの中だ。そういや座席に座った時、なぜか足場が高くて半分あぐらをかくような格好になった。思った以上に足が高く上がったせいでズボンのポケットからするっと落ちたのだろう。
自宅のPCを立ち上げ、バス会社のホームページにアクセスする。バスの終着点を調べる。問い合わせ可能な営業所を調べる。そうこうしているうちにスマホに着信があった。マナーモードだった事もあるが調べるのに夢中で気付かなかった。どこからだろうと思い着信画面を見ると、たった今調べたバス会社の営業所からの電話だった。
すかさず折り返し電話。案の定、定期券の落とし物の連絡だった。良かった。助かった.....。下りのバスだったこともあり、乗客も少なかったのが幸いしたのだろう。変な人に持ち去られなくて良かった。
ほっとしたのもつかの間。今度は定期券を引き取りに行かねばならない。再びグーグルマップで自宅から営業所までの道のりを調べる。徒歩で片道約36分。夜勤明けの身にはキツい。いったん寝て、夕方の夜勤出勤前に定期券を回収する作戦に切り替える。さっさとシャワーを浴び、泥のように眠る。
そして夕方6時前。まだ明るさも充分にある中、家を出て営業所に向け見知らぬ住宅街をひたすら歩く。晴れてはいるが蒸し暑い平日の静まり返った住宅街。どこか懐かしさを覚える。小さい頃はこんなところに住んでいたような気がする。夕飯の支度をする台所からの音。表札がボロボロで、もう誰も住んでいないように見える一軒家。けれどよく見れば洗濯物が干してある。かすかに人の気配がある。
見知らぬおじさんがじろじろ私を見つめてくる。帰宅ラッシュ前、こんな閑静な住宅街を働き盛りの男がうろついているのが怪しいと思われたのだろう。疑いを晴らすように平常心を忘れず足早にその場を過ぎ去る。やがて豪勢な造りの邸宅が見えてくる。間違いなく地主の家だ。身近な場所にこんな場所があったなんて。様々な感慨にふけりながら歩く。ひたすら歩き続ける。平日のこんな時間に何をやっているのか不思議な気分になってくる。
汗だくになってようやく営業所にたどり着く。用件を伝え、免許証を提示する。所定の用紙に記入し、無事定期券を取り戻す事が出来た。あとはその足で夜勤の職場へ向かう。これまた幸い、営業所から最寄り駅まで直通のバスが出ていた。もう何も考えずそれに乗るだけだった。
まったくなんてこった。身から出た錆とはいえ、こんなに面倒な事になるとは。
注意力散漫もいいところだ。もう夜勤を続けるのも限界なのかもしれない。
ただ貴重な経験として平日夕方の住宅街を彷徨ったのは悪くなかった。いつかはあんな閑静な住宅街でひっそりと穏やかに生きていければ、などと妄想してしまった。それがいつになるかはまだ分からないけれど。生きてさえいればきっとチャンスはあるだろう。今現在、悩み苦しんでいる事もいずれ笑ってやり過ごす事が出来るだろう。全ては生きていてこそ。そんな気がする。