その著作やペシャワール会のホームページを通じて、中村哲医師の活動を存じ上げておりました。
長年現地に踏みとどまり、これまで活動を続けてこられたのは並大抵の精神力ではないと思います。様々な困難があったであろう事は想像に難くありません。
何が彼をそこまで突き動かしたのか。そのような信念はどうやって築き上げたのか。
その家系、血筋を知ればある種の侠気を帯びていたのも分かる気がします。
引き合いに出すのもおこがましいですが、私は4〜5年ほど前に仕事に追い詰められノイローゼ状態でした。生活は荒れ、趣味も何も出来なくなりました。ただ本だけは読んでいました。とにかく生き延びる理由を見つけるためだけに。
その中の一つに中村哲医師の著作もあり、過酷な環境の中で黙々と井戸を掘り続けている姿に感銘を受けました。それに比べたら自分の悩みなどちっぽけなものだと思いました。行き詰まった時、彼の生き様に思いを巡らせると勇気付けられたものです。
まだ事件の全容は掴めていませんが、一部の報道では用水路利権が背景にあるようです。だとしたら全くくだらない。そもそも誰がその用水路を作ったのか。そんな事にもアタマが回らない連中が襲撃したのか。
神様がいるのかいないのか私には分かりません。死んだ後でないと分からないのかもしれません。ちょうど今回来日していた英国のロックバンドU2が、コンサートで中村哲医師を悼み『Pride』を演奏しました。その曲の一節には以下のようなくだりがあります。
「彼らは命を奪っても、その誇りを奪うことはできない」
全くその通りだ。