みけもふ日記 <備えあれば迷いなし>

経済的独立を目指し試行錯誤するブログ

【映画】ノマドランド

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4/11(日)晴れ

 

先週月曜、平日休みの利点を活かして今年初の映画鑑賞に行ってきました。

 

平日かつ朝8時35分からの上映にも関わらず、館内はにぎわっていました。ちょうど春休みシーズンだからでしょう、お子様連れのお母さんが多数いらっしゃいました。

 

軽食コーナーも行列が出来るほどの盛況ぶり。これが土日だったらどれだけ混み合っていたのか...。このご時世だけにいささか心配になりました。

 

それはさておき、今回鑑賞した映画は「ノマドランド」です。

searchlightpictures.jp

 

このような映画が公開されていることも知らなかったので、事前に何の予備知識も無く、ふと思い立って観に行きましたが、心にずしんと来る良い映画でした。

 

この映画のSTORYは以下のようなものです。

企業の破たんと共に、長年住み慣れたネバタ州の住居も失ったファーンは、キャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込んで、〈現代のノマド遊牧民として、季節労働の現場を渡り歩く。その日、その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流と共に、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく──。

 

2018年に出版された以下のノンフィクション本が元となり映画化されました。

ノマド 漂流する高齢労働者たち- 春秋社

リーマンショック後の新しい高齢貧困層を密着ルポ。グローバル企業の舞台裏と、労働力の使い捨てが常態化する現代社会が浮び上る。

 

リーマンショック後から職を求めて全米各地を転々とし、自家用車で寝泊まりする人々が増えたそうです。あの未曾有の金融危機がもたらした影響は現役世代のみならず、リタイア世代にも及んでいたというわけです。

 

そのような暮らしをしている人々同士のコミュニティも実在しており、映画の中でも登場してきます。ボブ・ウェルズというグル(導師)が実際に主催するヴァン放浪者のための集会に主人公のファーンが徐々に溶け込んでいくシーンもありました。

 

この映画の特筆すべき点の一つとして、主演のフランシス・マクドーマンドともう一人の男性俳優以外は、実際に車上生活を送っている人々が起用されている事が挙げられます。様々な事情を背負って集まった放浪者たち。その集会で語られた放浪者たちの言葉に印象的なものがありました。

 

「2008年当時は本当に苦しかった」

「あくせく働いても、最後は簡単に放り出される」

「目前に迫った老後の楽しみにヨットを購入するも、想定外の病に倒れ、夢を実現できなくなったばかりか、会社からはすげなく退職を突き付けられた」

 

そのような現実を目の当たりにして最後に「時間をムダにするな」という警句ともとれるという言葉には頷かざるを得ませんでした。

 

また、主人公のファーンが乗るヴァンが故障し、費用が工面出来ず姉に修理費を借りに行ったときの事。

姉夫婦は不動産業を営んでいるらしく、劇中の設定であるリーマンショックから3年後の2011年当時は需要が回復し、姉の家族が羽振りの良い話しをしている最中にファーンが言い放った言葉にも共感しました。

 

「顧客に貯蓄をはたかせ、借金させて家を買わせるのは理不尽」

 

リーマンショックの余波で工場が閉鎖され、住む家を失ったファーンにとっては切実な問題であったことは想像に難くありません。もちろん今の生活だってやりたくてやっているわけではない。

 

様々な労働現場を渡り歩きつつも、出会いや別れがあり、劇中終盤にかつて生活していた街であるネバダ州のエンパイアに舞い戻るファーン。旅を経て心境の変化があったのでしょう、残していた荷物を全て処分します。再び街を出ていくのですが、果たして彼女の行き先は...。

 

一見、気楽な放浪生活のようにも思えますが、必ずしもそうではなく、映画では厳しい生活の一端も垣間見せてくれます。ただ情緒的な作品に終わらなかったのは骨太なノンフィクションが根底にあるからだと思いました。

 

主人公はただ流されているだけでなく、あの旅を通じて何かを悟り、体得したのだと思います。ラストでは少なくとも自分で選び、誇りを失う事無く人生を乗り切っていく気概のようなものを感じ取りました。

 

この映画を観るまでフランシス・マクドーマンドさんという女優を知りませんでした。役作りにおいて、実際に車上生活を送ったり、Amazonの倉庫で日雇いの梱包作業に従事したそうです。役者魂ここに極まれり、という感じです。

 

また、前出の原作本を読んで衝撃を受け、映画化の権利を購入したうえで今回の映画化にこぎ着けたという事です。何だかスケールが大き過ぎて現実味が湧きません。海外の俳優さんは行動力がケタ違いですね。こいう姿勢は見習っていきたいと思います。

 

映画を見終えてまず思ったことは、資産形成の大切さでした。 もちろんお金が全てを解決するわけでない事は分かっていますが、せめて住むところに困らないくらいの蓄えはあった方が良いという事。

 

やはりただじっと守りを固めているだけではいずれ行き詰まる。そうならないために始めた資産運用でもある。ある程度リスクを取ってチャレンジしていかなければ、資産運用のみならず人生においても八方塞がりになるのではと危惧しています。

 

現在進行形のコロナウイルスによるパンデミックで、映画に登場するような車上生活者が増えている可能性も指摘されているようです。自分だってこれからいつどうなるか分かったものではない。

 

映画のように60を過ぎて、低賃金なうえに過酷な肉体労働を強いられるのはさすがに勘弁してほしいですね。あまり先の事を考え過ぎてもどうなるものでもないですけど、今現在を充実させつつ、老後の落とし穴にはまらないような生活設計をしなければと改めて思いました。

 

人生の最後がどうなるかなんて全く分かりませんが、この映画を通じて自分なりの納得感をもって生きて行くことが大切なんだろうなと思いました。他の誰かと比較してもキリがないし。たとえ負け惜しみにしか思われないとしても、そのような想いは心の芯にどんと構えておきたいものです。きっとそれがいい。