みけもふ日記 <備えあれば迷いなし>

経済的独立を目指し試行錯誤するブログ

【読書録】よみがえる力は、どこに 城山三郎

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7/9(木)雨

 

コロナウイルスの感染拡大により、自室にこもる事が多くなりました。無駄に出かける事が減ったので、読書熱が再び盛り返してきています。読書を通じて自分を見つめ直す時間が増えたので、今回のコロナ禍はそう悪い事ばかりでもないと思っています。

 

仕事に追われ、バタバタと何が何だか分からないうちに1日が終わってしまう。そんな日々が幾分やわらいだことにより、心にも余裕が出てきたように思います。昨年は体調不良によりどん詰まりの状態でした。仕事の面でも上手くいかず、完全に自分自身を見失っていた。

 

いくつかの病院を巡り、精密検査までしたものの結局原因不明。挙げ句の果てにはメンタルクリニックへの紹介状をもらう寸前に。まさかと思いつつもそこでようやく、うつとまではいかないものの、ノイローゼに陥っていた事が自覚できるようになりました。メンタル系の病院に行くのは嫌だったので、結局自分で何とかしようと今に至ります。

 

その何とかするための手段として、しばらく遠ざかっていた読書にしがみついた、というわけです。元々、読書は好きで人生の指針となるような良書に出会えた経験もあります。やはり読書はしなくてはならない。コロナ禍で外出もままならない中、手軽に有意義な時間を過ごすにはこれしかないと思いました。

 

今回、読んだのは以下の本です。

www.amazon.co.jp

電子書籍Kindle版です。増え続ける紙の本が邪魔で仕方ないので、一昨年からKindleを愛用しています。

 

結論からいうと、求めていたものがここにはあった。読んで良かった。

著者の城山三郎はご存知の方も多いでしょう。経済小説のパイオニアとして有名な作家です。既に故人ではありますが、プロフィールを見ると凄まじいものがあります。それを踏まえると、作品の中で披瀝される論理には頷かされる事が多かった。

 

以下、心に響いた箇所を引用させて頂きます。

私は軍隊へ行った体験から、組織そのものを信じていないものですから、強い人間の力が組織をよりよい方向に動かす、あるいは組織を乗り越えていく、と考えたいのです。そしてその力が、少しずつでも、時代なり社会なりをよみがえらせていくー私は、そんなふうに思っています。

  • 今で言えば、組織というのは企業にあたりますね。正直、組織に対する不信感は拭いきれません。あれだけ働いても大して見返りも無く...。しょせん歯車のひとつでしかなく、そもそも始めから期待されていないポジションにいたのです。気付くのが遅かった。私は組織の末端で働く、しがない立場でしかないので組織をどうこうするよりも組織を乗り越えていくほうに賭けたいと思います。

 

毎日の生活でも人生の設計でも、自分を見きわめ、自分だけの時計を持てば、無意味に焦ったりせずに己の道を歩いていける。あるいは、雑音を気にせず、自分を豊かにする道を見つけることができる。

  • まさに今の自分を見透かされているかのような言葉です。混乱して余裕がなくなり、完全に自分自身を見失っていた。弱いものです。それを見て見ぬ振りして放置していたら、いつしか自分の心がバラバラになってしまっていた。それを感じ取ったズル賢い奴につけ込まれてしまった。調子よく近付いてくる人間など信用してはならない。もう簡単には振り回されたくない。騙されない。受け身でなく主体的に人生を歩んで行くべきだ。ただ選ばれるのを待つのでなく、自分から選ぶ。そうしなきゃただの奴隷でしょ?

 

花伝書』の中で、私が一番ピンと来た言葉は、「住する所なきを、先づ、花としるべし」という定義でした。現状なり考え方に安住しない。あぐらをかいたり、決して満足したりしない。日々を新しく生きる。心を常に新しくしておく。そんな心の赴くまま、知らない道へも踏み込んでみる。そういう姿勢にこそ、花があるのではないでしょうかー。

  • これも怠惰になってしまった今の自分を見透かされているかのような指摘です。難しいですが、こうやってチャレンジしていかないと人生も面白くないですよね。

 

「なにせうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」

戦国の頃に成立した歌謡集『閑吟集』に収められているものだそうですが、権力に阿らず、独立独歩で、新しい世界へ踏み出そうと情熱を燃えたぎらせる堺商人の気質をよく伝えていますね 〜中略〜 そう、歳をとっても内面までくすんでいる必要はない。いや、年齢の話だけではありません。窮屈な時代、苦しい社会、厳しい状況に生きているからこそ、時には狂うこと、他人の目からは狂って見えるようなことへ身を投じることも必要なのではないでしょうか。

  •  一介のサラリーマンの身にはなかなか出来ることではありませんが、心持ちだけでもこのような情熱は保ち続けたいと思います。それでもチャンスを伺い、確信が持てればいつでも今の立場なんか捨ててしまおうと思います。

 

僕にとって、海軍で体験したことは、すべてがショックでした。軍隊というものはこういうものだったか、というね。暴力、腐敗、堕落・・・まったく、ひどい組織でしたよ。 〜中略〜 だから僕はもう、組織というのはこりごりなんです。軍隊に代表されるような組織というのは、最初の目的自体はよかったかもしれないけど、腐敗しだすと何をやるかわからない。

  •  これが作者の偽らざる本音であり、小説を書くための最大の動機であったと思います。果たして同時代に自分が生きていたらどうなっていただろうか。戦場に行く前に訓練中に死んでいたかもw 現代は形を変えて企業が幅を利かせる社会です。レベルの違いはあれど、組織の中に身を置いていると似たような事を感じます。不本意な形で人が亡くなる事もありました。形を変えた戦争。その中で私も日々もがき苦しんでいます。

 

まだまだ引用したい箇所がたくさんありますが、このへんで。この本はしばらく愛読書になりそうです。この本で吸収した事をどこまで実生活に生かせるか?それがこれからの課題になるでしょう。読んで吸収し行動に移す。これまでもそうやってきたじゃない。がんばれ。オレ。(・∀・)